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2010.01.11 (Mon)

音楽音痴のための耳コピ講座(第6回 耳コピの方法)

音楽音痴のための耳コピ講座の第6回です。

いよいよ「音楽音痴の私が実践している耳コピの方法」を紹介したいと思います。

●耳コピの手順

耳コピするための手順は以下の通りです。

1.耳コピしたい曲を良く聴いて覚える
2.曲のキーを割り出す
3.そのキーのスケールのコードを割り当てていく

たったこれだけです。

以下にこの手順を説明していきます。

●原曲を聴いて覚える

まずは耳コピしたい原曲のCD/DVDなどを良く聴いて覚え、その曲を歌えるようにします。
皆さんの誰もが、楽譜を見なくても、CDを聴いただけで、その曲を歌えるようになりますよね?
むしろ、楽譜を見ただけでは歌えませんよね?

このことは、誰もが耳コピができる能力があることを暗示しています。

耳コピには、“メロディーの耳コピ”と“コードの耳コピ”の2種類があります。

①曲を聴いて歌うこと=メロディーの耳コピ
②曲を聴いて弾き語り=メロディー+コード(和音)の耳コピ

そして誰もが、①のメロディーの耳コピはできるのです。
難しいのは、②のコードの耳コピであり、これは聴いただけ、つまり耳だけでやろうとしても無理なんです。
コード(和音)を聞き取るのは、絶対音感とまではいかないまでも、耳が良くないと難しいのです。

でも音楽理論の基礎知識があれば、耳が良くなくても、耳コピできちゃうのです。

●その曲のキーを割り出す

耳コピしたい曲が歌えるようになったら、いよいよ耳コピの開始です。
まずは、その曲のキーを割り出すことから始めます。

ここが音楽音痴にとっては、最初の難関です。
逆に言うと、キーさえ分かってしまえば、もう耳コピができたも同然です。
(そうではない曲も、多々ありますが・・・)

ところで、耳コピしたい曲が、メジャースケールなのかマイナースケールなのか分かりますか?
えっ?!そんなもん、分かるわけないだろ!

はい。分からなくても大丈夫です。とくに耳コピに支障はありません。

では、行ってみましょう。
前回の講座で、曲はトニック(T)に始まり、トニック(T)で終わるといいました。
つまり、その曲のキーを探すということは、曲の出だしのコード(=トニック)を探せば良いことになります。

その曲のキーを割り出すためのアルゴリズム(手順)は以下の通りです。

【曲のキーを割り出すためのアルゴリズム】
1.曲の歌いだしを声に出して歌ってみる
2.ここで、Xを“Cのコード”とする
3.その歌いだしを歌いながら、一緒にギターでコードXを鳴らしてみる
4.違和感があれば、Xを順番にD,E,F,G,A,Bとし、手順2,3を繰り返す
  違和感がなければ、そのときのXがその曲のキーです。
5.C~Bのコードを全部試しても、全部違和感があるなら、XにCm,Dm,Em,Fm,Gm,Am,Bmを当てはめて、手順2,3を繰り返す
6.それでもだめなら、1フレットにカポをつけて、手順2~5を試す


これで、たいていはその曲のキーが見つかるはずです。

この手順で、ポイントとなるのは、手順4で鳴らしたコードに「違和感」を感とれるかどうかです。
残念ながら、これを感じることができないと、耳コピはできません。
しかし、普通の音楽センスを持っていれば、これは誰でも分かるはずです。

先ほど、曲がメジャーなのかマイナーなのか分かるかを聞きました。
これが分かると、たとえば、その曲がマイナーだと分かれば、上記の手順5から始めれば良いので、時間を短縮できるということです。

では、実際にやってみましょう。
曲は、浅香唯の『セシル』です。



というわけで、『セシル』のキーはAであると分かります。(たぶん)

動画の最後では、次のEのコードも弾いていますが、T(トニック)の後は、SD(サブドミナント)かD(ドミナント)が来ることが多いので、Aメジャースケールでいえば、SD,TであるD,Eを弾いてみればたいてい合っています。実際には、SD,Tの代理コードの場合もあるのですが、候補となるコードをかたぱっしから鳴らせば、いつか正しいコードが見つかります。

耳コピは、このように、コードの候補をかたっぱしから当てはめていけば良いのです。
それじゃ、時間がかってしまうのでは?と思うかもしれません。
確かに最初は時間がかかるかもしれませんが、慣れてくると、意外と簡単にできるようになります。

なので、最初は時間がかかるかもしれませんが、頑張って1曲耳コピしてみましょう。

ここで、耳コピを実践するにあたって、私のスタンスがあります。

もしかしたら、音楽音痴の私が割り出したのだから、そのキーは間違っているかもしれません。
でも、ぶっちゃけそんなことはどうでも良いと思っています。
原曲のキーと合ってなくても、自分が気持ちよく歌えれば、それで良いのです。
だって、仮に原曲と同じキーを探り当て、そのキーで耳コピできたとしても、キーが高くて声が出なかったら、意味がないですよね?
キーが高くて歌えない場合は、カポをつけてキーを下げて、つまり原曲とは違うキーで歌います。
なので、実はキーなんて間違っていても全然構わないのです。


そもそも皆さんが、耳コピをする目的は何でしょうか。
弾き語りするためですよね?
だから、なるべく耳コピなどには時間をかけずに、本来の目的である弾き語りを楽しみましょう。
多少は間違ってたっていいじゃないですか。

ただし、メジャーとマイナーのスケールを間違ってはだめですよ。

●曲にコードを割り当てる

キーが分かれば、あとはそのキーのスケールのコードを割り当てるだけです。

この作業は、歌いながら、候補となるコードを次々と鳴らす必要があるので、得意(簡単)なキーが望ましいです。
そこで、私の場合は、カポを使ってコードが簡単なC、G,Aの3つのキーのどれかで作業を行うようにしています。

C→そのままC
D→カポ1でC
E→カポ4でC
F→カポ5でC(※1)
G→そのままG
A→そのままA
  またはカポ2でG
B→カポ2でA
  またはカポ4でG

※1:さすがにカポ5だと弾き難いので、カポ3で比較的易しいDで弾いても良いと思います。

カポの取り付け位置に関しては、過去の記事カポの位置早見表を参考にして下さい。

コードを割り当てるには、そのキーのスケールのコードがどれなのか知っている必要があります。
そこで、前に出てきた以下のことを思い出してください。

メジャースケール:I Ⅱm Ⅲm Ⅳ Ⅴ Ⅵm Ⅶdim
マイナースケール:Im Ⅱdim Ⅲ Ⅳm Ⅴm Ⅵ Ⅶ Ⅴ

これはスケールのトライアド(3和音)の種別を示しています。
先ほどの説明だと、少なくともC,(D),G,Aのスケールのコードの種類は必要です。
キーがCなら、単純にI~Ⅶの数字をC~Bに置き換えれば完成でしたね。

しかし、C以外のキーの場合は、#や♭を付けなければいけないので、単純にはいきません。
でも、心配しなくて大丈夫。C以外のスケールのコードを簡単に作る方法があります。

例えば、Dメジャースケールの場合で説明します。
まず、先ほども紹介した過去の記事カポの位置早見表を見てください。

この表の一番上の行にある C,D,E,F,G,A,Bを、例のローマ数字Ⅰ,Ⅱ,…,Ⅶに読み替え、Iの列(つまりはCの列)で、欲しいスケールのコード(この場合はD)を探します。
すると、Dはcapo2という行にあります。
そうしたら、この行のD,E,FG,A,B,C#を順にⅠ,Ⅱ,…,Ⅶに当てはめればよいのです。

分かりやすいように、カポの位置早見表を作りなおしてみましたので、この表で手順を示します。

1.下記の表のⅠの列(緑色の列)から、欲しいキーを探す(この場合はD)
2.1.で見つけたキー(この場合はD)のある行にあるコード(この場合は赤文字)をⅠ~Ⅶに当てはめる

すると、Dメジャースケールのトライアドは

D Em F#m G A B C#dim

のようになります。ほら、ちゃんとFとCに#がついてるでしょ?

play

(C)

(D)

(E)

(F)

(G)

(A)

(B)
capo1C#
D♭
D#
E♭
FF#
G♭
G#
A♭
A#
B♭
C
capo2DEF#
G♭
GAB
C#
D♭
capo3D#
E♭
FGG#
A♭
A#
B♭
CD
capo4EF#
G♭
G#
A♭
AB
C#
D♭
D#
E♭
capo5FGAA#
B♭
CDE
capo6F#
G♭
G#
A♭
A#
B♭
BC#
D♭
D#
E♭
F
capo7GABCDEF#
G♭
capo8G#
A♭
A#
B♭
CC#
D♭
D#
E♭
FG
capo9ABC#
D♭
DEF#
G♭
G#
A♭
capo10A#
B♭
CDD#
E♭
FGA
capo11BC#
D♭
D#
E♭
EF#
G♭
G#
A♭
A#
B♭


同様にして、『セシル』のキーであるAのスケールは、上記表のcapo9の行を当てはめれば良いのだから、

A Bm C#m D E F#m G#dim

となります。

つまり、キーがAメジャースケールの『セシル』は、上記の7つのコードを割り振れば良いのです。

(10.02.21 追記)
なお、マイナースケールの場合は、上記表の緑色ではなく、ピンク色の部分を使います。
例えば、Emならcapo4の行ではなく、capo7の行を使います。
これについては、第9回の講座で説明します。

これが、第3回の記事で書いた①と②は同じことを意味しているといった理由です。

①カポをつけると楽に曲が弾ける
 →「カポをどの位置につけてもコードの押さえ方は同じだよ」
②謎のローマ字が表していること
 →「キーが変わってもコードの種類は同じだよ」

この二つが同じことを示していることが分かったでしょうか?

さて、『セシル』を私が耳コピした結果は、前の記事(『セシル』の耳コピの結果)を参照してください。

耳コピの結果を見ると、あれ?と思う方もいるかと思います。
Aメジャースケールのトライアド(A Bm C#m D E F#m G#dim)にない、F#m7, Bm7が出てきています。

ここがコード(和音)の耳コピの難しいところなんです。
これまでは、トライアド(3和音)で説明してきましたが、もちろん和音はそれだけではありません。
トライアドにさらに3度上、つまりルート音からみて7度の音を加えた、以下に示す4和音のコードも使うことができます。

Imaj7 Ⅱm7 Ⅲm7 Ⅳmaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅶm7♭5

ここで、"maj7"がついたり、単に"7"だけがついたりするのは、同じ7度の音を重ねた場合でも、5度の音と距離が違うからです。

トライアドに7度の音を重ねてできる和音で、5度と7度の音の距離が、

長3度の和音をメジャー・センブス・コード(maj7)
短3度の和音をセブンス・コード(7)といいます。

となります。

これをAメジャー当てはめ、3和音と一緒に示します。

3和音:A Bm C#m D E F#m G#dim
4和音:Amaj7 Bm7 C#m7 Dmaj7 E7 F#m7 G#m7♭5

実際の曲では、このように3和音、4和音をコードに割り当てていきます。
これはマイナースケールの場合も同様です。

という訳で、本日のまとめです。

1.耳コピの手順はキーを割り出すことから始める
2.次に、そのキーの3和音と4和音を曲に当てはめる

 <メジャースケール>
  3和音:I Ⅱm Ⅲm Ⅳ Ⅴ Ⅵm Ⅶdim
  4和音:Imaj7 Ⅱm7 Ⅲm7 Ⅳmaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅶm7♭5

 <マイナースケール>
  3和音:Im Ⅱdim Ⅲ Ⅳm Ⅴm Ⅵ Ⅶ Ⅴ
  4和音:Im7 Ⅱm7♭5 Ⅲmaj7 Ⅳm7 Ⅴm7 Ⅵmaj7 Ⅶ7 Ⅴ7

3.上記のローマ数字の並びとカポ取り付け位置早見表があれば、すべてのキーのコードを作ることができる。

本日はここまで。

長くなってしまったので、前回予告した童謡の耳コピは次回にやりたいと思います。

<第1回 コードとは何か①>の記事を読む
<第2回 コードとは何か②>の記事を読む
<第3回 メジャースケールの作られ方>の記事を読む
<第4回 コードの役割>の記事を読む
<第5回 コード進行の基本>の記事を読む
<第7回 オリジナルキーの割り出しは難しい>の記事を読む
<第8回 ノンダイアトニックと転調>の記事を読む
<第9回 マイナースケールのトライアドの作り方>の記事を読む
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